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■ 原則禁止の社会 ■

平成17年01月03日(月) 11:59pm (NZ time)

おばんです、みなさん。
今日もオークランドの天気は、冴えませんでした。
もう1月だと言うのに今年は、まだ夏らしい天気になりません。
今年は、冷夏のようです。

日本では、明後日頃から仕事始めの会社が多いのではないかと思います。
ニュージーランドの暦の上での休みは、明日までです。
ただ、NZの休暇の習慣としては、各自がそれぞれ長期休暇を取ります。
普通は、2週間~3週間の夏休みを取ります。
経営者であっても従業員でも同じように休暇を取ります。
そして家族で旅行へ行くのが一般的です。

私の大家さんは、去年1ヶ月以上夏休みを取っていました。
1週間くらい車で旅行に出かけ、残りは家でのんびり過ごしていました。
夏休み中には、業務が停滞することがあると思います。
しかし、NZでは、夏休み中なので担当者が復帰するまでお待ち下さいと言う言い訳が結構通用しています。
お客さんもそれを致し方ないとして、諦めるようです。
お客さんは、神様としては扱われません。
普通の人間として扱われます。
お客さんも自分は、客だからと言って何でも強引に無理を通そうともしません。

このような社会的風習と言うのか習慣と言うのか風土と言うのか、社会全体の合意が無いと長期休暇は、取れません。
長期休暇が良いか悪いかと言う問題は、別にしてです。
やはりこれは個人主義とキリスト教文化が背景にあると思います。
全体主義の日本では、各人各様に長期休暇を取ると言う事は、殆ど無理だと思います。

キリスト教に於いては、聖なる日が1週間に1日あります。
それが暦の週の元になっています。
我々が現代社会に於いて使っている暦は、西欧のキリスト教文化から生じたものです。
より正確に言うとユダヤ教と言うべきでしょうが。
毎週聖なる日があり、労働をしなかった。
それが休暇と言う概念を否定的に捉えない根源だと思います。
日本においては、元来、休暇と言うのは、盆と正月と村祭りしかありませんでした。
その休暇以外は、年中労働しなければいけませんでした。
盆と正月と村祭りの休み以外に休むと言う事は、罪悪でした。
その精神的土壌が我々には、かなり色濃く根付いていると思います。

それ故に、日本では、休暇を取ること自体、後ろめたい否定的な行為として捉えられると思います。
ですから、会社で休暇届を出す時は、結構色々考えると思います。
そして個人的な理由も書かないといけないです。
私も日本でサラリーマンをしていた時、有給休暇を消化しない人間が多いので、
夏休みとか正月休みの時、有給休暇を半強制的に取らせて、会社全体がある程度の長期の休みを取っていました。
全員が休む場合は、誰もが安心して休めます。
これが全体主義です。
全員一緒じゃないといけません。

日本では、誰もが休んでのんびりしたいと思っていてもそれが出来ない仕組みになっています。
一人だけ個人的な理由で休みを取れない仕組みです。
全員一緒で無いと何も出来ない仕組みです。
これは、社会全体ががんじがらめになって強固な相互監視体制が出来上がっています。
何であんたから言われなあかんのやと言う人からも色々あぁだこうだと言われます。

ここで書いた事は、良い悪いと言う視点で捉えている訳ではありません。
実態として上記のような風潮があると言う事です。
物事は、全て良い面と悪い面があります。
西洋文明にも悪いところと良いところがあります。
日本も当然そうです。
ただ、日本は、窮屈な社会と感じるのは、私だけでは無いと思います。
しかし、日本は、総合的に見て、素晴らしい国だと思います。

西洋人は、良く日本の事をとても褒めます。
それじゃ、あんた日本に住んだら?
と言うと、それは嫌だと言います。
彼らにはとても窮屈で息苦しく感じるのは、当たり前だと思います。
強固な相互監視体制が敷かれ、隅から隅まで他人を行動に注文をつける原則禁止の社会と、自己責任を基盤とした原則自由社会の違いです。
どっちが良いとか悪いとかと言う話ではなく、現実がそうだと言うだけです。
私は、日本がとても素晴らしい国だと感激する一方で、とても付いていけない圧迫感を感じる時も多々あります。
好きか嫌いかと問われれば、間違いなく好きと答えます。
やはり日本は、素晴らしい国だと思います。
by kiwidream1997 | 2005-01-03 22:02 | 歴史