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■ お客様は奴隷です ■

平成17年01月20日(木) 10:10pm (NZ time)

おばんです、みなさん。
今日もオークランドは、余り良い天気ではありませんでした。
でも暑くも無く寒くも無くとても気持ちが良いです。
今日も、ニュージーランドドルが日本円と米ドル両方に対して値上がりしました。
2日前までは、ずるずるとNZ$が下落するのでは無いかと思いましたが、
単調下降ではないようです。
あるいは、持ち直すと言う事も有り得るのでしょうか?
良く分かりません。

私の大家さんのご主人がまだ夏休みで自由でのんびりゆったりした毎日を過ごしています。
さっきまでお客さんが来ていて、中々洒落たモーディーな音楽を掛けながら、
広いテラスで団欒と憩いのひと時を持っていたようです。
ビールやワインでも飲みながら何かを語らっていたのだと思います。
コーヒーも飲んでいました。
私のところに砂糖を貸してくれと来ました。
半年くらい前も砂糖が切れたので貸してくれと言って来たので、
殆ど一袋まんま上げました。
今まで、トイレットペーパー、バター、砂糖を貸して上げました。
勿論、貸すと言うのは、言葉の彩です。
実際は、返すと言う程の物でも無いので、勿論、返すと言う事はありません。

大家さんのご主人は、
去年も35日間か40日間くらいぶっとうしで夏休みを楽しんでいました。
今年も同じくらい休むようです。
そして、たまに知り合いなどが来て、9時過ぎまで外が明るいので
テラスでワインでも飲んでくつろいでいる様子を見ると
あぁいうのが人間の生き方だなと思います。
それにしてもそんなに長期休暇を取って居たら仕事は、
どうなっているのだろうと思います。
当然、誰かが留守中代わりに忙しく働いているのだと思いますが、
でも普段、目の回るほど忙しかったらそんな事は出来ません。
普段、仕事をしている時でも、毎日決まった時間に帰ってきます。

こう言う状況は、日本では、一生、永遠に未来永劫あり得ません。
休暇や仕事に対する考え方の違いを抜きにしても、
やはりお客様は奴隷ですと言う発想がなければいけないと思います。
どこかの国では、逆の言い回しがあると聞きました。
つまり、お客様は神様ですと言うらしいです。
「お客様は奴隷です」と言うのは、勿論極端な言い方です。
ちょっと想像が付きにくい状況を分かってもらう場合、
良く私は敢えて、極端な言い方をします。
極端な例や表現によって、フリルが振るい落とされ、本質のみが見える事があります。
Frill = フリルと言うのは、ひらひらした表面的な飾りの部分です。

つまりいくらニュージーランドでも「お客様は奴隷です」と言う標語を掲げては居ません。
でもあながち嘘でもないような状況が良くあります。
お客さんに合わせるのではなく、常に自分達の都合を優先させると言う事です。
終業時間が来たら、仕事が溜まっていようが何であろうが帰る事が最重要課題。
お客さんが緊急なので何とかしてくれと言っても、
今日はおしまいなので明日にしてくれとにべもなく簡単に言う。
サービス残業やサービス出勤などは勿論あり得ない。
こう言うやり方は、単純明快でそれが認められる社会でしたら、
何も悩んだり心配することもありません。
規則は、こうなってるから、こうだと言う建て前が本音と一体になっていますので、
不合理な狭間で悩んだり苦しんだりしないのです。
困っているお客さんが居たとしても、
それはお客さんの問題で自分達が悪いわけではないので、知らないと言う態度です。

まぁ、日本でそんな態度で対応したら、お客さんは頭に来て必ず復讐します。
ニュージーランドでは、そんなお客さんも居ません。
自分が無理を言っているのだから仕方ないと思って諦め、問題は先送りになるだけです。
そこで何が何でも強引に解決しようとはしません。
不合理で強引な意思と力で、
回りに迷惑を掛けゆがみが生じようが目的を達成するためなら何でもありと思って突進したら、
大ブーイングの台風が巻き起こります。
日本ではそれが当たり前に通用します。
強引であろうとも他人に迷惑を掛けようともそれが仕事であるならば当たり前だと取られる社会的な風土があるからです。
その風土が何故どのように出来上がったか私にも分かりません。
ただ、それが日本の現実で西洋社会では、あくまでも自分の歩調を保つ(ハイカラな言葉で言うとマイペース)のが当然です。

このように歴史と伝統と文化が違うために、
どちらもどちらの真似を出来ませんしする必要も無いでしょう。
今日本で疲れ切って消耗している人達がニュージーランドに移住したいと思う一番の要因は、
このような社会的風土の違いからだと思います。
身を削るようにして、心身ともにへとへとになるまで働いても幸福感も満足感も無く、
虚しい孤独感に襲われるだけだったら耐えられないと思います。
私は、その心境が良く分かります。
私は、それを身を持って体験してきたからです。
そこまで自分を犠牲にしても得るものが無いか又は微々たる物であるなら、
いっその事、全てを捨ててニュージーランドに来るのも手かも知れません。
昔はそれでも日本はまだ終身雇用制と年功序列と言う暗黙の了解が実践されていたのでまだ、救われたかも知れません。
今は、それさえも無く、生き残るのが精一杯だとしたら、
人は何をよりどころに生きたらよいか分からなくなるかも知れません。

ニュージーランドに移住したいと言う日本人が全員簡単にビザを取れたらどんなに良いかと思います。
そうも行きませんが、真剣に追求したら光が見えてくると思います。
20年近く前までは、ニュージーランドの永住権は、
申請したら誰でも取れましたと言う話です。
英語や学歴などは全然不要でした。
その時期に永住権を取った日本人を、私は数人知っています。
又、そんな時代が来ないだろうかと私は、希望しています。